中国語学習者必見!方言に対する考え方とは?

目次
『中国語の方言ってお互いどれだけ違うの?』
『そもそも中国語って1つの言語じゃないの?』
「方言」というと私達はまず関西弁をイメージすると思いますが、少なくとも日本の中で関西弁が通じないということは稀でしょう。
しかし中国語の方言は日本の方言という感覚ではなく、数えきれない種類の方言があり、しかも地域によって方言の違いが大きいことがあるため、会話が通じないことがあるのです。
それら方言の違いを形容するなら、お互いが独立した外国語ではないかと思うくらいです。
中国のテレビ番組で漢字の字幕をよく見かけるのも、地域によって中国語の発音が大きく異なるため、視聴者がテレビ出演者の発音を、理解できない可能性を防止するためなのです。
そして、中国で「普通話」という標準語が作られたのも、各地の言葉があまりにも違いすぎるという背景があり、言語を統一する必要性があってのことです。
『中国にて、勉強した普通話を使ったけど、方言のせいで相手が何を言ってるかさっぱりわからなかった。』
そんな経験をされた方もいらっしゃるでしょうし、現に私も雲南や内蒙古出身の方と商店などで話す機会がありましたが、ちょっとしたお金のやり取りでさえ、ほとんど聞き取れなかったこともあります。
基本的には標準となる、普通話を学習しておけば中国で会話は成立しますが、中国語の方言の特徴を知っておかないと、時折、言葉の壁で面食らうことがありますので、しっかり当ページをご覧になってください。
中国語の7大方言について
多種類の方言があるとはいえ、中国語の方言は7種類で分類されることが多く、その7種類はそれぞれ、北方、粤、呉、閩、湘、贛、客家と言われます。
ここでは日本人が接しやすい、北方、粤、呉について少し説明します。
北方話(北京語や東北語など)
近現代における標準中国語である普通話の基礎となっている方言で、約8億人〜9億人弱が話す中国で一番話者が多い方言とされ、一般的に中国の北方エリアにて話されています。
因みに北京は首都だから、普通話が一般的に話されているのでは?などと思われている方もいらっしゃるでしょうが、北京においても北方話の括りに入る、
北京語という方言が使用されており、舌を巻いて話すような感じの発音がなされます。
なので北京語=標準語というわけではなく、普通話が標準語となります。
粤語(広東語)
香港、マカオ、そして広東省付近で使われている方言で、世界全体で1億2千万人が使用しており、古代漢語の表現を継承しているのも特徴です。
また、世界の華僑が使う言葉では広東語が多く使用され、例えばアメリカの華人社会では、広東エリアから移民してきた方が多い影響で、年配の方ほど広東語を話す傾向にあるそうです。
少数民族が使う言語
また、中国には約56の少数民族が住んでおり、方言と言うのは正確ではないですが、各々が固有の言語を使用しております。
大体ではありますが、中国のおよそ10%が少数民族と言われており、例えば朝鮮族の多い吉林省へ行けば、街の看板でハングルを見る機会が多くあります。
そしてイスラム系の方が多く住む中国の西側へ行けば、アラブ系の文字を見かけることがあるでしょう。
普通話と方言の違い(広東語を例に)
中国語といえば、まずは普通話を勉強すべきでしょうが、この「普通話」を習得し、例えば香港・マカオや地方都市などに行っても、現地の人が言っていることがほとんど理解できないことがあるでしょう。
では、どのように違うのかを普通話と、日本人の方にとって親しみがある、香港や広東省付近で使われる広東語を比較して示したいと思います。
発音が大きく異なる
例えば、『私は日本人です』を比較しますと、
普通話:我是日本人。
ウォ シィ リーベンレン
広東語:我係日本人。
ンゴー ハイ ヤップーン ヤン
このように発音も異なるだけでなく、声調も異なります。
(声調は普通話が4つに対し、広東語は9つと言われています)
その他、『こんにちは』にあたる你好ですが、
普通話:ニーハオ
広東語:ネイホウ
とかなり大きな違いがあります。
文字の字体が異なる
中国語には「簡体字」と「繁体字」があります。
簡体字は繁体字を簡単に覚えやすくした字体で、繁体字は旧字体と呼ばれ、画数が多く旧来の字体です。
当初は「繁体字」が中国で使用されていましたものの、1950年代に中国政府の主導で、簡単な表記にした簡体字が生まれました。
繁体字は簡略がないため、画数が多い字体となっており、簡体字は画数が少なく簡略化された文字を使用しています。
中国本土、マレーシアそしてシンガポールでは簡字体が使われているのに対し、香港、マカオそして台湾においては、繁体字を使っているので文字が異なります。
例えば簡字体の「湾」も繁字体では「灣」になりますし、乐も樂になります。
※普通話ではありますが、台湾も繁字体です。
その他の違い
その他、文法や語彙などが異なる部分もあり、広東語と普通話を取ってもかなり違うのがおわかりでしょう。
なので、広東語を知らない中国人が他人より広東語で話されると、意味を100%理解はできないというのが現実です。
逆に香港人や広東エリアの中国人は、広東語と普通話の両方を習得するため、
その他の中国人と会話しても問題ないというケースが多いです。
広東語のように、方言の大きな違いは中国各地に存在しますので、
普通話を習って中国に行き、
「相手の言っていることが聞き取れない」
など、悩む必要はありません。
まとめ:普通話をまず勉強しよう
繰り返しにはなりますが、中国における方言は、互いがイタリア語とスペイン語ぐらい違う別言語のようなケースが多々あるのです。
一方で、普通話は中国において汎用性が高いのは事実ですし、仮に、方言のせいで向こうの言っていることがわからなくても、書く、読む、そしてこちらから伝えることができればある程度はコミュニケーションが取れます。
よっぽど中国語の方言に思い入れがあるのであれば別ですが、そうでなければまずは普通話にフォーカスして勉強してみてください。
そして普通話が習得できれば、多少の方言なら徐々に理解できるようになります。
そして最後に、もし中国語の方言が聞き取れなくても悩んだりしないでください。
ネイティブである中国人でさえも、方言が理解できないことがあるのですから。
中国語留学で行き先を検討される方はこちら