アメリカの大学へ留学する前に知るべき8つのポイント【体験談】

目次
春には広大な山脈でトレッキング、夏はビーチで海水浴をしたり、湖でキャンプ、秋には乗馬をし、冬はスキーと大自然の宝庫、アメリカ。
留学先としては依然として一番人気のアメリカですが、ここでは、アメリカの大学への正規留学の一般的な情報を8つのポイントに分けてご紹介いたします。
アメリカの大学の特徴・制度
入学・卒業時期
日本の大学は4月入学ですが、アメリカの大学は8月(あるいは9月)入学の秋学期入学が一般的です。
2学期制(セメスター制)の場合、秋学期(8or 9月開始)入学か、春学期(1月開始)入学をすることができます。
卒業時期ですが、アメリカの大学は単位制を採用していることが多く、卒業に必要な単位数を満たせば、早く卒業することも可能です。
サマーセッション(夏休み中のクラス)を上手く活用して3年あるいは3年半で卒業している生徒も沢山います。
セメスター制の他には、クウォーター制(4学期制)を採用している大学も多くあります。
私立大学・州立大学の違い
日本の大学は、国公立大学の方が私立よりもレベルが高い印象がありますが、アメリカの大学は私立大学の方が州立大学よりレベルが高いです。
後ほど紹介します、アメリカ大学のランキングを見ても分かるとおり、トップから上位を飾るのはすべて名門と呼ばれる私立大学になります。
州立大学は州内の地元の学生のためですが、私立の大学は大学の理念に賛同した企業や卒業生からの献金を集め、世界で通用する優秀な人材を輩出するためという、最良の学習環境を与えることを目的としています。
学習環境
入学するのは簡単、卒業するのが難しいと言われるほど、勉強漬けの毎日になり、24時間開館している図書館は、夜中でも課題やプレゼンの準備をしている学生で溢れています。
そこで大学内では学生の学習環境を応援する様々なサポートが充実しています。
私の行っていた大学は学生一人一人に何でも相談できる専任教授(Advisor)を付けてもらえ、学業から経済的な問題など、親身に相談にのってくれました。
フレキシブルな学習環境
どの大学でもとてもフレキシブルな編入制度が充実しているので、最初は入学が比較的簡単で学費もリーズナブルなCommunity Collegeに入学して、そこで好成績を収め、レベルの高い名門大学を目指すも可能です。
勉強している専門や教授の教え方が自分に合わなければ、すぐにほかの大学に編入(Transfer)することが出来ます。
途中で学費が足りなくなったり、何かの事情で続けられなくなっても、一旦途中で停学し仕事をして、また大学に帰ってくる生徒もたくさんいます。
エッセイ(ライティングスキル)がかなり重要
アメリカの大学では、Assignmentと呼ばれる宿題が多く求められ、課題として多くの書物と与えられたテーマにそってエッセイ(小論文)を要求されます。
文系に限らず、理系学部でもエッセイの提出は頻繁に求められます。
ここで言うエッセイはAcademic writing と呼ばれ、文章の構成に沢山のルールがあり、書き方のコツを必要とします。
文法やスペルチェックは、大学に併設されているライティングセンターのサポートで解決することが出来ますが、エッセイ自体の核となる文章構成は訓練によってでしか鍛えることができません。
なぜこのエッセイが大切かというと、書いているテーマや論文内容がいくら良くても、このライティングルールーにのっとった書き方が出来ていなければ、評価が低くなってしまうのです。
ライティングスキルは独学では難しい印象があるため、9月あるいは1月入学の前に現地の語学学校で習得するか、日本の留学専門学校でもコースを設けているところがあるので、可能であればプロの先生の下で訓練を受けることをお勧めします。
スピーチ(長時間のプレゼン)
普通プレゼンと言えば、20分~30分ぐらいが平均的ですが、アメリカの大学では試験の代わりに、Speechと呼ばれるプレゼン試験を要求されることがあります。
長いところで一時間ぐらい要求され、評価する人は教授だけでなく、他の現地学生全員が評価します。
聞いていて苦にならない英語力はもちろんのこと、ネイティブなアメリカ人生徒を飽きさせない工夫が必要で、Speech終了後に交わされる質問に的確にこたえる必要があります。
アメリカの大学入学にあたって準備すべきこと
早くからの準備が必要
自分はどこの都市に行きたいか、何を勉強したいのか、希望の学校に入るためには、どんな入学条件を満たさなければならないのか、情報収集に時間をかける必要があります。
たとえば、スポーツマネージメントに興味があったら、プロのスポーツリーグでインターンができるプログラムを持っている学校、国際機関で働きたいのであれば、実際に国連に行って講義が受けられる国際援助プログラムを設けるニューヨーク州内の大学を選ぶ等、将来の方向性によって行きたい大学を選ぶことができます。
アメリカの大学のいいところは、実践力を培うことができるフィールドワークを重視したプログラムが多くあるということです。
そういった最新の情報を英語で調べるには時間がかかるため、なるべく早くからの準備が必要になってくるのです。
エッセイの準備を
多くの大学では高校の成績と入試時のエッセイを重要視しています。
学業だけでなくスポーツや音楽などのクラブ活動、さらにボランティア活動に取り組む等、文武両道なオールマイティーな学生を求めています。
アメリカの大学での正規留学を目指すのなら、高校の早い時期から学業と英語学習を頑張り、学校の英語の先生の力を借りてエッセイの準備に取り組む努力が必要です。
良いエージェントの見極め方
ビザの申請やエッセイの書き方、奨学金制度の調査や現地学校の送迎等、英語力が十分でない学生にとってこれら様々なハードルを自分でこなしていくには限界があります。
学業や英語習得に専念するために、複雑な手続きはプロの手を借りて準備していくのがスムーズな方法と言えます。
各エージェントや留学専門学校の無料フェアに足を運び、さまざまな情報収集しながら自分に合ったところを見極めていく必要があります。
エージェントの中には、入学前に豊富な準備カリキュラムを提供し、そのカリキュラムをそのまま留学後の学校の単位に置き換えることができるところもあります。
カウンセリングがしっかりしている、提携学校の豊富さなど、自分が実現したい方向性にあっているところをしっかり吟味してください。
一方、英語力があり海外滞在経験がある方は自分で入試を挑戦することも十分可能です。
アメリカ正規留学のノウハウが記載された書物も沢山ありますので、それら情報を参考にし、メールや電話等でやり取りしながら進めていくことも可能です。
アメリカの大学へ留学するメリット
さまざまなハードルがあるアメリカの大学への正規留学。
大変な思いをしてでも行くメリットはあるの?と思う方が多いと思いますが、アメリカ大学での留学は、単なる英語習得だけではない、多くのメリットがあります。
世界で一流の学問を受けることができる
音楽、スポーツ、芸術、金融や企業マネージメント等、世界の最先端が集まるアメリカ合衆国。
世界で名立たる有名な教授の下で直接学べることができるのがアメリカ留学の醍醐味とも言えます。
人種のるつぼ。いろいろな優秀な人材と友情を築ける
学内では沢山の学生寮があり、いろいろな学部があるので、学生生活の中で様々な人との交流があります。
サークル活動も充実しており、さまざまな学生や先生と友情が築けます。
世界中から集まる優秀な学生達との友情をはぐくみ、さまざまな文化や習慣を肌身で体験することができます。
就職で有利
語学学校での英語習得と違い、しっかりとアカデミックな知識を大学で習得しているため、その留学経験は就職で高く評価してもらえる傾向にあります。
日本の就職でも、海外の第一線で活躍できる人材を欲しているため、アメリカ留学は特に商社や外資系では大きく評価してもらえるでしょう。
一昔前までは、留学や「遊学」と捉えられ、日本企業での就職では不利ではないかと言われてきましたが、今や時代が変わり、どの企業でも海外で活躍できる優秀な学生を求めています。
毎年ボストンで開催されるキャリアフェアでは参加企業が年々増加を続け、優秀な人材獲得に本気で取り組んでいます。
また将来、アメリカ社会の一員として活躍していきたい人は、アメリカの大学での学位は大きく影響するでしょう。
分かりやすい例を言いますと、外国人移民への態度が厳しいNYのImmigration入国監査。
通常、外国人の入国者に対しては、まるで犯罪者を見るような目で、さまざまな質問をしてきます。
そんな入国監査官もパスポートに張り付けられているアメリカの大学の学生ビザを見て、「ここの学校に行っているんだね!」と態度が180度変わったケースもあります。
アメリカの大学の資格を持つことは、アメリカの住民としての十分な信頼性を獲得することになるのです。
アメリカの大学の学費は高い?
どんなに安い学校でも、最低学費150万円+生活費で年間200万~250万円かかります。
名門の私立大学になると、4年間の総額は約2500万円(学費+生活費)になるところもあります。
多くの大学では一年目は学内の寮に住む事を条件にしており、また州立大学ではMeal制度というがあり、学生は必ず高い食費代(Meal)も併せて購入しないといけません。
よくアメリカの映画やドラマで、40歳になっても学生ローンが完済できないと嘆くシーンを目にしますが、年々高騰している大学の学費はアメリカでは大きな社会問題になっています。
日本の大学ではあまり学校に行かなくても、アルバイトと両立しながら大学を卒業できることもありますが、アメリカの大学は決して甘くはありません。
毎日多くの課題が課され、さらに授業への高い出席率を求められます。
毎日夜中まで予習・復習し、やっと平均的な成績をキープできる感じです。
また、学生ビザでできる学内アルバイトは限られていて、図書館や食堂、寮の運営スタッフ、また成績優秀者は学生のTutorや教授のサポート等となります。
これらのアルバイトで多少は生活費が節約できたとしても十分ではないため、アメリカ留学には十分な資金がないと途中で断念してしまいます。
このように高額な留学資金が必要なため、早くから保護者に学費の相談をし、家庭の経済状況で実現可能なのか話し合う必要もあるでしょう。
奨学金の取得方法
しかしながら、高額な学費を捻出することができないことで、すぐにアメリカ留学をあきらめる必要はありません。
日本には給与型・貸与型の奨学金制度がいくつかあり、条件が満たせば取得できますし、金融機関や独立行政機関から留学生向けの教育ローンの融資受けることも可能です。
その他、アメリカの大学、特に私立大学では奨学金制度が充実している学校が沢山あり、優秀な学生は全額受け取ることも夢ではありません。
入学前に受け取る事ができなくても、入学後の成績によって次のセメスターから受けられるケースも沢山あります。
興味のある大学にはどのような奨学金制度があるのか、事前に調べて挑戦することをお勧めいたします。
※参考:国内の代表的な奨学金制度
文部科学省:https://www.tobitate.mext.go.jp/index.html
日本学生支援機構(JASSO):http://ryugaku.jasso.go.jp/scholarship/
日本政策金融公庫(JFC):https://www.jfc.go.jp/
アメリカの大学の選び方
アメリカの大学を選ぶ指標として一つの参考となるのが、大学ランキングです。
大学の概要だけでなく、学生数、教授数、学費、博士号取得数、どの分野の評価が高いのか等、名門大学の様々な情報を得ることができます。
※代表的なランキングサイト
アメリカ大学ランキング 2019 : US News Rankings
https://www.usnews.com/best-colleges/rankings/national-universities
世界の大学ランキング 2019 : THE(Times Higher Education)
https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2019/world-ranking#!/page/0/length/25/sort_by/rank/sort_order/asc/cols/stats
名門の大学が決して自分にとって最適な大学なのかと言えば、そうではありません。
郊外の静かな場所にあり少人数性のクラスで、生徒一人ひとりの良質なサポートが行き届いている良い大学も沢山あります。
都会の真ん中にある規模の大きい名門大学で、数百人が集う大講義でのクラスを受けることが果たして自分の学習環境としてふさわしいのか、よく考える必要があります。
その他アメリカ留学で準備すること
予防接種について
アメリカに留学する際は、予防接種を求められるケースがあります。
そして大学や州などによって、必須の予防接種の種類も違ってくるので、事前にしっかり公的機関などからの情報を確認するようにしましょう。
学生ビザについて
年によって状況も変わるのと、大使館とのやり取りの中で相応の準備が必要となります。
つきましては必ず、充分すぎるくらい余裕の時間を持って手続き進めるようにしましょう。
保険について
その年によって良い保険商品も変わるので、一概に「これだ!」という商品をお勧めはできませんが、世の中には留学保険というものが存在します。
ご自身の目的に沿って情報収集し、適切な保険を選択するようにしましょう。
アメリカ留学の注意点
アメリカは広大な領土のため、比較的温暖な西海岸或いは冬が極寒な東海岸にいくのか、また、大都市の学校或いは郊外の田舎の町に行くのか、地域によってそれぞれ気候や治安が全く違います。
例えば、シカゴなどの五大湖周辺や、ニューヨークやボストンがある東海岸の冬はとてもさむく、日本から持っていく冬服では間に合わないくらいマイナス数十度の世界です。
雪道に耐えられる滑り止めのしっかりしたブーツや、厚みのある防寒着は現地で用意した方がいいかもしれません。
治安に関しては、学内の寮と学部棟の往復であればあまり心配する必要はありませんが、外でアパートを借りる場合、住む地域の治安を考慮する必要があります。
基本的な事ですが、夜は出歩かない、お酒のあるバーやクラブの付近には近づかない等、身の安全は自分で守るよう十分気を付けてください。
まとめ
入学準備から卒業までさまざまなハードルを乗り越えていかないといけないアメリカ大学留学ですが、アメリカ留学を経験した人は皆口をそろえて「留学して本当に良かった」といいます。
英語を習得できたという事だけでなく、さまざまな経験を通し、生きていくための力を身に着けることが出来た、大きな視野を持ち、人としてとても大きく成長できたという意見が大勢です。
目的をもって準備をしっかりすれば、かならず実現可能ですので、多くの学生の方にぜひ挑戦することをお勧めいたします。
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