MR営業の実態ってどう?元経験者が体験談を語ります

目次
MRって給料が良いと聞くけど本当?
仕事がきついと聞くけど本当?
色んなうわさが飛び交うMRの仕事ですが、実際のところが知りたいというあなたへ。
元MR営業にて400名のメンバー中4名が達成できた、25カ月連続で医療機関の開拓をおこなってきた私より、MR営業の実態をお話いたします。
MRになりたいという方の少しでも参考になれば幸いです。
就活全般について知りたい方はこちらの記事をご参考ください。
MRとは
MRの名称ですがMedical Representativeの略称で、日本語では『医薬情報担当者』と呼ばれます。
主な仕事としては、医療機関で主に医師と薬剤師に対して医薬品の品質、有効性、副作用などを伝達するとともに、医療機関から得た副作用情報などを会社に報告するのが主な業務となります。
実際のMR業務
製薬会社としても医薬品を患者さんに使用してもらわないといけないので、医薬品情報の伝達・収集業務と同時に、医師や薬剤師へ薬を営業に行く側面があります。
MR資格は必要?
MRは資格がなくとも医療機関に出向いて薬の説明をすることが可能です。
しかし、製薬業界としてMR認定資格というものを設けており、MRの知識向上のためにどこの製薬会社も社員に資格取得を義務付けています。
さらにMR認定資格を取得するため、数ヶ月の研修期間を取る企業もあるくらい、気合を入れて企業から勉強させられるでしょう。
そして病院によってはMR認定資格がないと医師や薬剤師との面談を受け付けないところもあります。
MRの年収
正直なところ、MRの年収は総じて高めです。
会社によっては30代前半で年収1,000万円を超えることもあるでしょう。
ではなぜMRの年収が高いのかというと、
そもそも営業利益率が高い
医薬品を一度医療機関に納品すれば、基本的に再注文が繰り返される
という仕組みだからです。
営業利益率が10~30%と、製造業の平均が4~5%台と言われる中、異常なほど利益率が高いのです。
それだけでなく、慢性疾患の場合は一度でも患者さんに処方されると、継続的に処方されるケースが多いので、医療機関より再注文が繰り返されます。
車のディーラーであったり証券営業のように、こちらから働きかけないと再度買ってくれないというケースが非常に少ないのです。
MRのやりがい
自社の薬を医師や薬剤師の方に処方いただき、患者さんの重い病気が治ったと報告を受けたときは、非常にやりがいを感じる時でしょう。
私も院長が薬の処方の仕方を知らなくて困っていたところ、アドバイスさせていただきました。
その結果『君のおかげで患者さんの容態が良くなったよ。ありがとう。』と言われた時は非常に嬉しかったことを思い出します。
営業的側面でのやりがい
やはり医師や薬剤師の方から、『○○さんはよく来てくれて、色んな情報もくれるし助かる。君を信頼して医薬品を注文する』と言われる時は、非常にやりがいも感じる時です。
あとは医薬品の知識がついてきて、『患者さんのために○○という理由で、他社の医薬品を当社に乗り換えてください』と営業ができ、医師の方を納得させたうえで薬を購入いただいた時でしょう。
※あまり医薬品営業という言葉を使うのは、医療という業界上よろしくないのは承知ですが、わかりやすく営業という言葉を使います。
MSとの違い
医薬品の情報を適切に届けるMRとは異なり、医薬品卸業に関わるMSとはマーケティングスペシャリストと呼ばれ、薬を安定的に医療機関に届けるのが主な業務です。
あとMRは医薬品卸を通して薬を納品するため、自社の製品の卸値を決めることができず、MSが基本的に医療機関の関係値にあわせて卸値を値付けしていきます。
あわせてMSは、MRからの依頼で医薬品の営業を行う事もあるため、時折MR的な側面があったりします。
また薬を届けたり、医薬品の注文を医療機関に伺いに行ったりすることもあるので、医療機関との関係が非常に深いのもMSの特徴です。
つまりもしあなたがMRになった場合は、医療機関と関係が深いMSとの関係を悪くすると、営業がやりづらくなるので必ずMSと良好な関係を構築しましょう。
MR営業ってきつい?
MR営業がきついかどうかはその人の心の持ちようだと思いますが、医療機関を相手にするため、総じて無茶な営業をすることはないでしょう。
ただ医薬品を医療機関に上手く売れないとなると、さすがに支店で居心地は悪くなるので要注意です。
さらには自分が売りたくない薬を売ることになる場合は、気持ち的に辛いと思うケースは出てくるでしょう。
一方、MSの方から医療機関を紹介してもらうケースがあったりし、飛び込み営業も少なかったりしますので心持ちは楽な気がします。
MR営業は接待ってあるの?
規制の影響で製薬メーカーの接待は激減したので、以前と比べて労働環境は改善に向かっています。
しかし、医療機関の忘年会や納涼大会などは、得意先との関係を考え参加した方がよいでしょう。
余談ですが以前は医薬品の名称が入ったハンコを、医療機関の代わりに作成してあげるという慣習もありましたが、こちらも現在は規制でなくなりました。
なので院長から『薬の名前が入った印鑑を作ってくれと』頼まれても、絶対に断ってください。
段々と医療機関と製薬メーカーの関係は世間の厳しい目にさらされており、医療機関との付き合い方も変わってきています。
MR営業は女性も活躍できる?
もちろんですが、MRは男女関係なく活躍できる場です。
出産など家庭のライフスタイルに変化があっても、他の営業に比べて続けやすいかもしれません。
なぜなら製薬メーカーの福利厚生は群を抜いて良いため、社員に配慮した制度がばっちり整っています。
MRの営業スタイルは?
もしあなたがMRになった場合は営業車が貸与されるのとあわせ、会社によっては自宅から直行直帰が許されます。
大まかな流れですが、
①午前中に医薬品卸の会社へ訪問してMSと打ち合わせ
②医師が昼休みの時間にクリニックや病院などに訪問
③その後は薬局に訪問し、薬剤師の方と面談
④午後診察の前に医師と面談
⑤事務作業を行い、夜診終了後に面談
⑥20:00ごろ帰宅
というのが基本的な流れです。
要はどれだけ医師や薬剤師の方と多く接点を持つかがキーとなります。
もちろん医薬品という人の命を預かる製品を扱うので、日々勉強を行うことを忘れないでください。
新薬とジェネリックの違い
新薬はわかるけど、ジェネリックって何?という方に違いを説明します。
医薬品には数百億〜1,000億円という予算を掛けて作った新薬がある一方、ジェネリック医薬品というものがあります。
ジェネリック医薬品とは新薬の特許が切れた後に販売される、有効成分が新薬と同じの医薬品です。
そしてジェネリックは、新薬の特許が切れた後に発売される医薬品ですので、開発費が数億円程度で済むため、医薬品としての価格も安いのが特徴です。
しかしただ安いだけでなく、有効成分以外の添加物などは新薬と同じでなくても良いので、薬の味であったり飲みやすさが改良されて世に出ているジェネリックも多々あります。
ジェネリックはMRにとってどう影響する?
新薬を専門に売るMRにとってジェネリックが販売されると、医療機関はジェネリックに変える傾向にあるため、売り上げが減少します。
ではなぜ医療機関はジェネリックに変えるかと言いますと、
ジェネリックにすることで薬価が減り、患者の医療費負担も減少する
国が医療機関に対して、新薬からジェネリックへの切り替えを推進している
ということがあります。
つまり、医療機関がジェネリックを処方することで、いくつかの優遇を国から得られるようになっているのです。
ただこれも悪い理由ではなく、現在の国民皆保険制度を守るためにジェネリックを推進している部分があります。
薬の値段が下がるジェネリックを使うことで、国が支払う医療費負担も削減でき、国民皆保険制度も維持できる。
とてもよいことではあるのですが、現場の新薬MRにとっては複雑な心境でしょう。
ジェネリックに対する新薬企業の対応
新薬企業もこの状況を放おっておくことはなく、新薬企業自らがジェネリック医薬品を作ったり、もしくはジェネリック企業を買収するケースがあります。
なので以前は新薬ばかり作っていた会社も、現在は売り上げの半分以上がジェネリックで占めるというケースもあります。
MR営業をやるなら新薬?ジェネリック?
個人的な意見ですが、MR営業をやるのであれば新薬企業でしょう。
ジェネリックのMRをやること自体は悪くないのですが、新薬企業でMRをやってジェネリック企業に転向するのは容易かもしれませんが、その逆は少しハードルがあります。
実際に新薬企業への転職では、ジェネリック企業からの転向を避ける企業も散見されます。
また、ジェネリック企業によってはせっかく出世したと思っても、新薬企業から来た社員が引き抜きで部長職になったりすることもあるので、出世欲の強い方にとっては面白くないでしょう。
それにジェネリックを販売している企業の方と話したことがあるのですが、どこか新薬企業に働いている人に対して引け目を感じている方が散見されます。
自分たちは新薬をコピーしている・・・
そんな気持ちで仕事していて、果たして良い仕事ができるのか疑問に思うところです。
ジェネリック企業だからこそ薬に付加価値を付けることができるので、ぜひともこのような後ろ向きな考えは捨てるべきでしょう。
ただ新薬企業の状態を申しますと、ジェネリック自体が国に後押しされているのとあわせ、新しい薬の開発が少ないのが現状です。
見方によっては、ジェネリック企業のほうが規模は新薬企業より小さくても安定している場合があります。
コントラクトMRについて
また昨今ではコントラクトMRといい、MRを派遣する会社に所属して、新薬やジェネリック問わず色んな企業を渡り歩くスタイルも出てきています。
もし気になるようでしたら、一つの選択肢として企業研究するのもよいでしょう。
MRの今後
給料もよくやりがいもあり、福利厚生もしっかりしていてなんて素晴らしい業界なんだ!と思われるでしょうが、MRも決して楽ではありませんし、将来性がある業界とは断定できない部分もあります。
新薬が出てこなければ売るものも少なくなるし、ジェネリック医薬品の台頭で新薬メーカーも経営が苦しくなるでしょう。
もちろんジェネリックメーカーも数多くあるため、ジェネリックの会社も卸値競争などが激化しており、経営も一筋縄ではいきません。
このような環境下、企業の業績が傾くと会社によってはリストラもあります。
また医師や薬剤師の方もMRが売ることばかり先行し、価値のある情報提供をできなければ、MR自体の存在も薄れるでしょう。
なのでMRになる方は日々の研鑽をしっかり積んで、会社の中でも生き残れるだけでなく、社外に出ても戦力になる人間になるよう心がけてください。
ただ、製薬会社自体は他の業界と比べ、営業利益や収益構造が盤石で安定している業界ですし、過度に将来が不安と怖れる必要はありません。
まとめ
給料も福利厚生も素晴らしいMRですが、その分の働きぶりを求められるのもMRの仕事です。
そんなMR営業について個人的意見ですが、僕はやってよかったと思っています。
おかげで薬や健康の知識がついたのはもちろんですが、何よりも医師や薬剤師のお客様と楽しくお付き合いができ良い人生が過ごせました。
とはいえ待遇やお付き合い先が良くても、人によっては合う合わないが出てくる仕事ですので、しっかりと業界研究を行って就職するか考えてください。
しかし自身に合う仕事であれば、やりがいを感じ楽しい仕事ですので、MRに興味がある方はぜひとも面接にトライしてみましょう。
MR営業のコツについては、こちらの記事を御覧ください。